「僕と野村さんとの違いは娘がいたことです。野村さんも息子夫婦が面倒を見てくれていたそうで、とくに息子さんの奥様はとても良くしてくれたと聞いていますが、やはり気を遣ってしまう部分はあったと思う。娘はほとんど女房と化していて、僕のことを本気で怒ります(苦笑)。でも、それがありがたいんです」
常に気にかけて、時には叱ってくれる人が身近にいることが救いだったと田原氏は言う。
また、趣味がなく酒も飲まない田原氏は、仕事こそが悲しみを忘れさせる手段だったと強調する。
「仕事がなかったらとっくに死んでいますよ。いまでも休みを取るのが怖くて、1年のうち休日は『朝まで生テレビ!』の元旦特番を終えた1月2日だけです。『この歳になって深夜放送は体に悪いのでは』とよく聞かれるけど、ここで死ねれば本望です。できれば『朝生』の本番中にポックリ逝きたいものです。
リタイアして女房を亡くした人も、何か夢中になれるものを見つけると変わりますよ。男は家にいる時間が長いほど、女房のことを思い出してしまいます。地域貢献やボランティアでも何でもいいから、家の外で打ち込めることを探してほしい」
※週刊ポスト2020年3月13日号