◆ドキドキよりも“家族感”
共通の知り合いや家族には、共に暮らすパートナーとして、互いを紹介しあうこともあった。そういう意味では公認の仲だ。仕事にも慣れて来て、あかねさんの生活は以前より安定した。
「私自身のいちばんの変化といえば、料理をするようになったこと。家に友人を招いたりもするようになりました。彼もけっこう料理が好きで、最近は交替で夕食をつくっています。まあ、お互いいい年なので、健康に気を使い始めたっていう感じでしょうか」
もう一つ、あかねさんにとって大きな変化があった。昨年、父親が亡くなり、ほどなく、母親が認知症を発症したのだ。地方での一人暮らしは不安が大きいため、当面は都内に住む兄家族と同居し、将来的には施設への入居を検討しているという。
「兄ばかりに負担をかけられないので、引越しとか、家の手続きとかで、去年は大変でした。それをかなり彼が手伝ってくれて、助かりましたし、心強かった。転職相談から始まった関係なので、ドキドキするような相手ではなかったけど、一緒に住んで3年、結婚はしていなくても、“家族感”が強まった気がしますね」
隣県に住む康史さんの母親はまだ元気だが、やはり高齢で一人暮らしのため、一人っ子の康史さんとあかねさんで、実家に出向く機会もできた。プロポーズされたのは、昨年末、お正月はお義母さんに顔を見せにいかないとね、という話をした折だった。
「急に籍を入れようと言われたから、え、どうして?って訊いちゃいました。彼は、将来を考えたら、やっぱりちゃんとしたほうがいいと思って、と。たぶん彼は、私が結婚したいと思ってると、思ってたんでしょうね」