神奈川勢がトップ3を占めたのは、MARCHのキャンパスが神奈川県内や東京の多摩地区に多く、通いやすいこともある。東京トップは6位の「国学院大久我山」、埼玉は7位の「大宮開成」がトップだった。大宮開成は昨年トップで、今年は昨年に比べて194人減の398人だった。卒業生数が昨年に比べて167人減となったことも理由とみられる。
今年、合格者を増やした学校では、昨年の45位から9位に躍進した東京都立の「立川」だ。98人増の388人となった。東京の進学指導重点校に指定され、進学に力を入れている。進学指導重点校は7校が指定されているが、立川がトップになった。昨年は東大に2人、京大に3人、旧7帝大合計で25人が合格している。
昨年の168人から263人に95人増えたのは、千葉の私立中高一貫校の「東邦大付東邦」だ。東邦大の付属校で、昨年は東邦大医学部に16人、薬学部に3人、健康科学部に1人が内部進学している。
ただ、付属校より進学校としての実績が高く、昨年は東大に9人、慶大に43人、早大に78人が合格している。2017年より高校での募集を中止し、千葉で唯一の完全中高一貫校となった。
89人MARCH合格者が増えて203人合格となったのは、埼玉の私立中高一貫校の「本庄東」だ。2006年に中学を併設し中高一貫校となった。特進選抜、特進、進学の3コースを設け、進学指導にも力を入れている。
この他にも66人増えて259人合格の東京私立中高一貫校の「東京農大第一」、64人増えて211人合格の栃木県立の「宇都宮」、62人増えて387人合格の「都立新宿」などが大きく伸びた。
MARCH合格者の多い高校の顔ぶれも変わってきている。安全志向から上位校で併願が増えていると見られる。難化しているということだ。
上位に公立高が多くなってきているのは特徴だ。東大合格者が多い埼玉の「県立浦和」、「東京都立西」などもトップ20に入っている。大学合格実績では中高一貫校に注目が集まるが、公立高の巻き返しが確実に進んでいるといえそうだ。
●文/安田賢治(大学通信 常務取締役)