ライフ

医師が解説する不眠症の定義、睡眠時間の長さでは決まらない

睡眠時間は長ければ長いほど良いのか

 研究結果をもとに、加齢に応じて睡眠時間が短くなることに問題がないと提唱するのは、久留米大学医学部神経精神医学講座の教授で同大学学長を務める内村直尚医師だ。

 同氏は「平均的に8時間寝られるのは15歳ぐらいまでで、25歳で7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間とされます。60代以降は6時間眠れていれば、睡眠時間としては心配しなくていいでしょう」と語る。だが、睡眠時間が6時間になると、多くの人が睡眠不足と感じてしまうのではないか。

「睡眠時間は長ければ長いほどいいというわけではありません。最近の九州大学の久山町研究(疫学調査)では、5時間未満の人と、10時間以上の人の死亡率が高く、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、肥満、がん、うつ病なども増え、認知症は2~3倍高まるというデータが出ています。また、60歳以降で最も長生きでき、最も認知症になりにくい睡眠時間は5~6.9時間でした」(内村氏)

 内村氏は「不眠症かどうかは、睡眠時間の長さでは決まらない」と補足する。夜の睡眠に問題を生じ、かつ日中にQOL(生活の質)の低下など、何らかの支障が出ている場合が「不眠症」と定義されるのだ。

「夜しっかり眠れたかどうかは、午前中から我慢できない眠気があるかどうかで判断できます。普段の生活で寝て起きた後、午前中に眠気が襲うようなら、睡眠障害の可能性があります。

 睡眠時無呼吸症候群など治療の必要性が高い病気が原因の場合も多く、こうした兆候に気が付いたら、睡眠外来など専門医の診察を受けることをすすめます。睡眠時無呼吸症候群は肥満の人に多いですが、下顎が小さい人など痩せている人でもなります」(同前)

※週刊ポスト2020年3月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
素材はピカイチとされたが…
【オコエ瑠偉が巨人を電撃退団】「阿部監督一強体制」で反発は許されなかったか メジャー移籍は厳しい現実、“ランクを下げながら海外移籍を模索”のシナリオも
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン
いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン