次のポイントは仕様差。格安グレードは上位グレードに比べて見かけがやたらとみすぼらしいというのが常だが、フィットのベーシックの場合、上位グレードと大きな差がほとんどない。もともとのデザインが綺麗に仕上がっているので、これで十分上等という印象であった。
内装はダッシュボードなどに上位のお洒落なソフトパッドなどは装備されておらず、かなり地味である。が、新型フィットの場合、室内トリムによる部屋感より開放感を極度に重視するデザインがなされているため、実際に乗ってみるとトリムがお洒落かどうかということがほとんど気にならなかった。むしろベーシックの素っ気なさがプラスに感じられたほどである。
装備面も思いのほか充実している。渋滞追従機能つきレーダークルーズコントロールやレーンキープアシスト機能などを持つ運転支援システム、ホンダセンシングやサイド&カーテンレールエアバッグ、キーを差し込んだりしなくてもドアの開閉錠やエンジンのON/OFFができるスマートキーなど、従来の格安グレードとは次元が異なる。
今どきのクルマとして見劣りするであろうポイントは、シリーズの中で唯一エアコンがオートでなくマニュアルであることと、ヘッドランプがLEDではなくハロゲン式ということであろうか。
しかし、これらも決定的な不満にはならないように思われた。ガソリン仕様フィット・ベーシックのマニュアルエアコンは、機能は低いかもしれないが、面白いことにデザイン性は結構高い。
エアコンコントロールはレバーなどを使った機械式ではなく、ロータリースイッチを回して調節する電子式。スイッチを回すと温風、冷風、風量などのLED点灯数が増減。噴出し口の切り替えも電子スイッチである。この無駄なハイテク感はなかなか可愛げがあった。ヘッドランプもバルブはハロゲンだが、ホンダセンシングと連動してハイ/ロービームを自動切換えする機能をちゃんと持っている。