GIGAスクール構想における政府の補助金はパソコン1台あたり上限4万5000円だが、いま社員全員にパソコンを持たせるような企業では「ゼロクライアント」が珍しくない。これは、ユーザーが使用する端末(クライアント端末)の機能をネットワーク接続とキーボード・マウス入力、画面描画・ディスプレイ出力のみにとどめ、すべての処理をサーバー上にある仮想化されたデスクトップで行なう仕組みである。
学校の場合も、同様のシステムを導入すれば、端末は昔の「ダム端末」のように自前のCPUもOSもHDDなどの記憶装置も持つ必要がないから、1台あたりのコストは2万円以下に抑えられるだろう。
ほかにも「ゼロクライアント」のメリットは多い。まず、端末に過去のデータが残らないので、使用していた児童生徒の卒業後も、それを誰でも自由に使える。消耗部品はキーボードぐらいだから、耐用年数も長い。仮に2万円の端末を5年で買い替えたとすれば、年間コストは4000円。公立小中学校の1か月分の給食費よりも安く済むのである。
また、先生が参考資料などを送れば、それが瞬時に児童生徒の端末画面に出てくる。その日勉強した内容をUSBメモリーなどに入れて持ち帰れるようにすれば、自宅で継続して復習できる。一方で、学校が閲覧を禁止・制限したいサイトへのアクセスは、サーバー側で簡単にコントロールすることが可能だ。
逆に言えば、CPUとOSと記憶装置を持ったパソコンを1人1台使えるようにするというのは、個人情報漏洩のリスクも含め「百害あって一利なし」であり、20年前のコンセプトなのである。
だが、パソコンの業界にとってGIGAスクール構想は、新たな4000億円市場がいきなり空から降ってきたわけで、まさに「棚から牡丹餅」だ。