パビリオンでよく覚えているのはワコール・リッカーミシン館。愛がテーマで、性の神秘を描いた映像を流し、その中でお兄さんとお姉さんがキスするし、裸で踊るんです。初めて女性の動く乳房を見て、ムズムズして身体に変化が起こり、友だちに話したら「お前もか!」って。それ以来、会場に行ったら何があってもまずはワコールに行く。

 動く歩道に乗り、サンヨー館の「人間洗濯機」を見て、将来はこうなんのやと信じていました。21世紀になれば普通に月に行けるぐらいのイメージで、未来を信じていたんです。これ以上面白いことはこの先の人生にないんちゃうかと思ったくらい万博は面白かった。

 期間中、6千万人以上の人が来た。なのに、終わった途端誰も来なくなり、翌日から万博用に敷設されていた線路が外され、電車も来なくなった。パビリオンが鉄球で壊され、倒されていった。丘の上に行って、その様子を何度も見ました。切なくて涙が出て、呆然としましたよ。

3歳下の妹と(提供/嘉門タツオ)

●かもん・たつお/1959年生まれ。上海万博で日本館応援団長、ミラノ、アスタナ万博で日本館サポーターを務め、2020年ドバイ万博で日本館PRアンバサダー。最新CD『HEY! 浄土~生きてるうちが花なんだぜ~』が発売中

※週刊ポスト2020年3月27日号

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