国際情報

中国・強制労働施設の実態暴くドキュメンタリー 監督が語る

3月21日より新宿 K’sシネマほかで全国順次公開 (C)2018 Flying Cloud Productions, Inc.

 世界を震撼させている新型コロナウイルス。発祥地・中国では、実態を伝えようとする中国人のフリー記者が相次いで当局に身柄を拘束されたという。“世界第2位の経済大国”ながら、政治的には中国共産党の一党支配下にある中国の言論統制は苛烈を極める。そんな中国の抱える闇に迫るドキュメンタリー映画『馬三家(マサンジャ)からの手紙』が、3月21日から都内で公開される。同作で監督を務めたレオン・リー氏に話を聞いた。

 衝撃の告発ドキュメンタリーが制作されたのは、こんな文面の手紙が見つかったことが発端だった。

〈どうかこの手紙を国際的な人権団体に送ってください。ここでは何千人もの人間が中国共産党による迫害に苦しんでいます〉

 2012年秋、米オレゴン州に住む主婦ジュリー・キースは、地元のスーパーで購入したハロウィンの飾り箱の中に1通の手紙を見つける。そこには、中国北東部・遼寧省の「馬三家労働教養所」で強制労働を課された中国人労働者からのSOSが、決して洗練されているとはいえない英語で記されていた。

 遼寧省から8000キロ離れたオレゴンに届いた「馬三家からの手紙」は、地元の新聞社を皮切りに、CNN、ニューヨークタイムズ、BBCなど各国でセンセーショナルに報じられた。

 その報道を熱いまなざしで見つめていたのが、カナダを拠点に活動するレオン・リー監督だ。中国の人権侵害をテーマとするリー監督は、中国の違法臓器売買に迫るデビュー作『人狩り』を製作中だった。

「それまでの取材で馬三家労働教養所の悪名は聞いていたので、手紙の内容を知って“おとぎ話のようだが、これは真実だ。誰がどうやって書き、どう届いたのか知りたい”と感じました。手紙を書いた本人にぜひ会いたいと思い、それまでに培ったアンダーグラウンドの人脈で探してもらいました。でも中国当局に気づかれずに探し出すことは困難で、3年が過ぎて忘れかけた頃に『どうやら見つかった』との連絡が入りました」(リー監督)

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン