そして、最大のピンチがやってきた。幕内力士の千代丸(九重部屋)が40度の発熱で休場したのだ。7日目(3月14日)の打ち出し後の検温で38.6度。翌朝は39.7度とさらに上がった。この時点で8日目の休場届を出したが、やはり「毎朝の検温を基準としているので(PCR検査に)該当しない」との判断。宿舎2階の個室で隔離されたが、翌16日(9日目)の朝も40度の熱があり、ようやくPCR検査を受けることになった。

「力士の職業病ともいわれる、足の傷口から細菌が入る『蜂窩織炎』の疑いが強かったが、ルール上は新型コロナウイルスを調べるPCR検査をするしかなかった。検査の結果は陰性。協会幹部も胸をなでおろす一方で、千代丸もスピード復帰となった。体温が下がったといっても10日目の朝の時点で37.7度の高熱。蜂窩織炎は皮膚と皮下組織に細菌が感染し、増殖する急性感染症です。激しい痛みを伴うことも多い。

 にもかかわらず、検査結果が出るとすぐに11日目の取組を決める取組編成会議に間に合うように再出場の手続きをした。この会議も通常は午前11時からのものが、今場所は午後1時に変更されていた。審判部に大人数が集まらないようにする感染リスク軽減策のひとつだというが、結果としてアクシデントを予想していたかのような好都合の展開となった」(相撲ジャーナリスト)

 千代丸は7日目まで5勝2敗と好調で、まだ勝ち越しの可能性が残っていたとはいえ、熱があるなか3日の休みを挟むだけで11日目から異例の早さで土俵に復帰した。それによって新型コロナウイルス感染の噂をかき消し、協会も中止の危機を回避できた。綱渡りが続いた無観客場所の“殊勲賞”の候補のひとりだろう。

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