国内

新型コロナ「本当に困っている人」に生活保障はなされるのか

ジムに人がやってきたのはもう2か月前のこと(イメージ)

ジムに人がやってきたのはもう2か月前のこと(イメージ)

 外出自粛要請だけでなく、カラオケ、バーなど業態を指定して利用を控えてほしいと東京都の小池百合子知事が訴えるほど、新型コロナウイルスの感染拡大が危険な域に達しつつある。急速に街から人が消えたことで、突然、仕事を失い、生活がたちゆかなくなっている人たちがいる。事業主への貸付制度や給付への対応が遅いことにも不満がつのっている。政府は収入減となった世帯に30万円を給付する方針を打ち出したが、働く人たちの生活を守る視点に欠けているのではないかという批判は根強い。ライターの森鷹久氏が、コロナ騒動で仕事が激減した人たちの不安についてレポートする。

 * * *
 今年3月、千葉県市川市のスポーツジム利用者の複数人から、新型コロナウイルスの感染が発覚した。ジムはすぐに閉鎖、マスコミ各社がジム前に集まり、取材合戦が繰り広げられたことも記憶に新しいが、その裏で、一足先に生活が破綻した人たちが存在していたことは、あまり知られていない。

「インストラクターといっても、フリーランス契約です。仕事がなくなり、生活は即ダメになりました。仕事をしただけ貰える一方で、やっただけしか貰えないという私たちにとって仕事がない、というのはその瞬間生きていく糧がなくなるということ。報酬が高い仕事でもないし、貯金はごく僅か。フリーランスに対する休業補償も、政府は4000円少しと言っている。これじゃ家賃を払って終わり。申請も、勤務先の管理者の印鑑が必要とか煩雑で、本当は”出したくない”という出し渋り感が見え見え。工場での日雇いアルバイトで食いつないでいますが、正直生きた心地がしない。もう無理です」

 こう話すのは、千葉県市川市に隣接する某市にあるスポーツジムの元インストラクター・花田新太郎さん(仮名・30代)。スポーツジムでのコロナウイルス感染拡大が発覚し、花田さんの勤務するジムも、期間未定で閉鎖が決定した。会社員とは違い、インストラクターのほとんどがフリーランスであったため、報酬は出勤した分だけ。当然、休業補償の類はないし、今後ジムが再開する見立てもない。

「海外では、フリーランスにも十分な保障が支払われたり、一律の現金給付などの措置が取られるとニュースで見た。日本のフリーランスには、私で言えば本来の1日ぶんの5分の1、約4千円の給付しか受けられないと聞いています。働き方改革とか、副業奨励とかありましたよね? 結局、私たちは見捨てられていませんか?」(花田さん)

 花田さんのように、平時であれば「普通に生活できた」というフリーランスは少なくない。彼ら、彼女らの多くが、コロナウイルスの影響により苦境に立たされているわけだが、声を出せるだけ、まだマシかもしれないという事例も存在する。

「半減どころじゃありません、このままいけば店は潰れます。女の子たちも様々な事情の子が多く、すでに生活が破綻し、お店でお金を貸し付けています」

 沈痛な面持ちで筆者の取材に答えるのは、千葉県内で派遣型風俗店を営むU氏(40代)。そもそも2~3月は、業界にとっても閑散期。売り上げの落ち込みは想定済みだったが、2月下旬ごろから新型コロナウイルスに関する報道が続くと、客も感染を心配したのかオーダーがほとんどなくなったと嘆く。

「最初は常連さんが”大変だね”と来てくれる場合もありました。店としても、消毒やうがいを徹底するなど対応していましたが、マスクをして接客するわけにもいかず…。現状は前年同月比の8割減。ただ、この困窮を訴えたところで、そういう商売をしていたんだからしょうがないだろいうと言われるのがオチ。貸付してもらえる業種がいくら増やされても、うちのような仕事だけは除外だと言われています。他に行き場がなくて困った末に働いている女の子が少なくないのに、あまりに現実を無視されると、人間としてカウントされていないような気になります」(U氏)

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン