芸能

スリムクラブ沖縄時代、真栄田と内間が笑いの門をくぐった日

内間の感性を真栄田が見出した

 漫才頂上決戦「M-1グランプリ」の2010年大会で、「スローテンポ漫才」を披露して準優勝に輝いたスリムクラブ(真栄田賢・44歳と内間政成・43歳)。絶妙な間合いで笑いを生み出す彼らだが、約20年前に地元・沖縄でピンとして活動していた当時は、コンビを組むことすら考えていなかったという。知られざる沖縄時代のスリムクラブについて、ノンフィクションライターの中村計氏がレポートする(全5回連載/第2回)。

 * * *
 内間の感性を象徴するエピソードがある。ボケ役で、コンビの操縦士と言ってもいい真栄田の回想だ。

「大学の近くに西原って飲み屋街があって、そこを2人で歩いていたら、単色の、きれいなゲロがあったんです。そうしたら、内間が『このひと、一品しか食べてない』って。そんなこと言うやつ、なかなかいないでしょ」

 2人がまだ琉球大学の1年生だったときの話だ。高校まで学年は真栄田が1つ上だった。ところが、大学受験の際、真栄田は三浪、内間は二浪したため、大学で同学年になった。その吐瀉物の一件がきっかけとなりコンビを組むようになった、というほどの話ではない。ただ、真栄田の中で、内間とはこういう人間なんだと強くインプットされた出来事ではあった。

 2人が出会ったのは、ともに琉球大学に入学し、ひと月ほど経った頃だった。真栄田の知り合いが、おもしろいやつがいると、真栄田と内間を引き合わせてくれたのだ。それから2人は、クラブなどへよく飲みに行くようになった。一緒にナンパもした。だが、関係は、それ以上でもそれ以下でもなかった。平たく言えば、飲み仲間の内の1人だった。

 教師志望の真栄田は教育学部を選択し、具体的な将来設計を持たない内間は法文学部に通っていた。芸人の道に足を一歩踏み入れたのは、真栄田が先だった。真栄田は大学でプロレス同好会に所属していた。そこで、マサ斎藤という名レスラーをもじって「マサ最高」の名でリングに立っていた。

「まあ、コメディーレスラーっていうか、第1試合で笑いを取る役割でした。白いブリーフをはいて出て行って、『パンツドライバー!』ってやってたんです」

 パイルドライバーの和訳は「脳天くい打ち」。つまり、頭から地面に叩き落とす技なのだが、その際、相手の頭部をパンツの中に入れるというのがマサ最高の得意技だった。

「ある日、それの応用で、フルチンで、『ノーパン式パンツドライバー』っていうのをやったら、めちゃくちゃウケたんですよ。そこで僕は快感を覚えちゃったんです。それまでは、おもしろいといっても、クラスの人気者みたいな感じだったんです。でも、知らない人にも笑ってもらって、おれの笑いは身内以外でも通用するんじゃないかと」

関連記事

トピックス

12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
去就が注目される甲斐拓也(時事通信フォト)
FA宣言した甲斐拓也に辛口評価 レジェンド・江本孟紀氏が首を傾げた「なんでキャッチャーはみんな同じフォームなのか」
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン