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新型コロナ対策は「自己関連付け効果」が重要と心理士

新型コロナの特徴として味覚障害も

新型コロナの特徴として味覚障害も

臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、森三中・黒沢の感染報告から考える新型コロナ対策について。

 * * *
 お笑いトリオ・森三中の黒沢かずこが新型コロナウイルスに感染、6日に森三中のYou Tubeチャンネルで音声コメントを公開した。発熱などの症状が出てから感染が確認されるまでの2週間について語ったのだが、その声は思っていたよりも明るく、語り口は落ち着いていた。

 経過を聞いていると、コロナ感染の症状は人それぞれであることが改めてがわかる。無症状の人もいれば感染すると高熱が出たという人もいる。黒沢さんが「熱っぽいな」と感じたのは3月21日。検温すると体温は「41.2度」。発熱すれば高熱が続くという情報を多く聞くが、黒沢さんが発熱したのはその1度だけだ。すぐに計り直してもその後は36度台に。それでも怖いから病院で受診したというが、インフルエンザの検査のみで2日間休むよう伝えられたという。その後は熱も咳もなく仕事に復帰。

 ところがこの時「鼻の奥になんか鼻水がある感じが続いてて…」と風邪の症状があり、味覚と嗅覚に異常が出ていたというのだ。

 これがコロナ感染の症状に似ていると彼女が気づいたのは、阪神の藤浪晋太郎投手が嗅覚異常を訴えて感染が確認されたニュースが3月26日に報じられたからだ。藤浪選手と夕食を共にしていた2選手にも味覚障害があり、検査結果は陽性。これにより新型コロナ感染の症状には、味覚や嗅覚に異常が出ることもあるという認識が世間に一気に広まった。

 米大リーグ、カブスのダルビッシュ有投手も「嗅覚がおかしいってだけで名のり出た藤浪選手はすごい」「関係者への感染リスクもかなり抑えられたはず」と自身のツイッターに投稿したように、藤浪選手の感染のニュースは、黒沢さんが自身の感染を疑い、関係者への感染リスクを抑える行動に出ることができたきっかけを作ったといえる。

 藤浪選手感染のニュースを聞いた時、自分の味覚や嗅覚に異常がないか確かめた人も多いのではないだろうか。実際、私もコーヒーを飲んで確認してみた。人には自分に関連づけた事は記憶に残りやすいという傾向がある。これを「自己関連付け効果」というが、今回のコロナ感染ではこの効果が役に立っている。いくつかの情報番組では感染者の話として、自身の味覚異常から感染を疑い受診しているケースを紹介していた。味覚や嗅覚は四六時中、簡単に確認でき気づきやすいポイントだ。おかしいと感じた時“あぁそういえば…”と思い出せば、早期に治療することもでき感染拡大を防ぐ一助にもなる。

 だが黒沢さんの場合。本当に怖いのはここからだった。彼女は自身の感染を疑ってから、保健所に相談し、いくつもの病院に頼み込んで、頼み込んでようやく検査してもらえたのだと、森三中・大島美幸さんの夫、放送作家の鈴木おさむさんが明らかにしたのだ。鈴木さんはインスタグラムで「これが一番怖いです。検査してもらえない」とも投稿。黒沢さんも「もしかしたら自分が感染源になったら怖い」とコメント。例え症状に気がついても感染しているのかわからない、検査できないという宙ぶらりんの状態こそが人々の不安の種になる。

 音声コメントの最後を「皆さまお気をつけください、以上、森三中・黒沢でした」と締めくくった彼女の声は冒頭よりも明るくなり弾んでいた。

 緊急事態宣言がようやく出された。症状に気づき感染を疑う人たちが不安にならないよう、一刻も早く検査体制や医療体制などが整うことを望むばかりだ。

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