飛田はもともと衛生には、かなり気を配ってきていた。新型コロナウイルスが中国・武漢で発生のニュースが報じられたときから、手の消毒など対策を強化して営業を続けてきた。そうした効果もあり、これまで感染者は出していなかったものの、売上は大きく減少した。
そこで、3月31日には同組合が緊急理事会を開催して、「緊急事態宣言が出されたら全店一斉休業。その代わり、そこまでは頑張って営業しようやないか」ということで、コンセンサスが取れていた。
しかし、東京都で「夜の街のクラスター化」が指摘されるようになり、歓楽街が“悪者”にされていくと、大阪府が飛田新地を問題視。府からしつこいほどの自粛要請が届くようになり、組合長が折れた経緯があった。
大正・昭和・平成・令和──歴史ある花街は、経済的な正念場に立たされていく。