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2020.04.09 07:00  週刊ポスト

渡辺えり 芝居の話ばかりしていた中村勘三郎との思い出

「ここも哲明さんが誘ってくれて出た『浅草パラダイス』をはじめ、亡くなるまで何本もやった思い出深い劇場です。

 地方からバスで楽しみに来ていただいて、凄く喜んでくださるのが嬉しいです。商業演劇のお客さんは『待ってました!』みたいな声がかかったりして、喜んでくださることがこちらにも伝わってくるんです。

『有頂天作家』も思い出深い作品で。哲明さんと親しくなった頃に杉村春子さんとも親しくなりまして、いつか私の芝居に出ると約束してくれていました。その杉村さんに誘われて観たのが『有頂天作家』でした。初演は『恋ぶみ屋一葉』という題名で、杉村さんが素晴らしかった。

 今回、杉村さんの役はキムラ緑子ちゃんがやるんですよ。私は初演では乙羽信子さんがおやりになった役です。

 乙羽さんとは『おしん』で共演して、本当に良い方でした。印象的だったのは、おしんをいじめてきたことを乙羽さんに謝りにいくシーン。私のセリフは十ページあったんです。それを必死に覚えて、本番で澱みなく喋ったら、『いやあ、おとらさん、よかった。頑張ったわね』って拍手をくれました。

 知的でリベラルな思想の持ち主で、『恋風』で森光子さんとやった時も『光ちゃんの引き立て役をやってくれて本当にありがとう』と楽屋まで来て誉めてくれたり。そんな乙羽さんを思い出しながら演じています」

●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『すべての道は役者に通ず』(小学館)が発売中。

※週刊ポスト2020年4月17日号

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