『ようこそ、革命シネマへ』はベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞した作品。ドラマ風ドキュメンタリーというおもしろい手法をとっている。
独立以来、何度も紛争を抱えてきたスーダン。1989年に軍事独裁政権となり、映画産業は衰退した。そんな現状を憂い、4人の老映画人が立ち上がった。彼らは60~70年代、母国に映画文化を根付かせようとしていたが、軍事政権から弾圧された。というと、深刻な内容かと思われるかもしれないが、この4人が実にキュート。冗談を飛ばし、陽気に笑い合いながら、つぶれてしまった映画館で映画を見せようと奮闘する。弱そうで強く、抜けているようでしたたかなところがいい。
この映画を見ていて、20年ほど前のドキュメンタリー映画を思い出した。キューバの老ミュージシャンの姿を追った『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』だ。抜群の音楽と遊び心に魅了された。
人間はどんな状況に置かれても、何かを楽しみ、自由を求めようとするものらしい。それは、人間の強さであり、豊かさだと思う。
◆勇気をもらえる日本のドキュメンタリー
このドキュメンタリー映画も、勇気をもらえる作品。『インディペンデントリビング』。日本映画だ。閉じこもっていた障害者たちが自立生活センターに集まってきて、町へと飛び出していく。障害者たちのとんがっていて、めちゃめちゃ濃いキャラクターは、見る人に、もっと自由に生きたらどうだと叫びかけてくるようだ。田中悠輝監督のテイストも気に入った。
この映画、感染予防として、インターネットの有料配信という形をとったのも新しい。新型コロナとの闘いの最中はいい方法だと思う。