とにかく楽しくて笑ってしまうのが『チア・アップ!』。ダイアン・キートン主演。平均年齢72歳のおばあちゃんたち8人が全米チアリーディング大会を目指す。チア未経験どころか、腕も足も上がらない。まわりから無理だと馬鹿にされながらも、練習に打ち込んでいく。ただただ笑って楽しい。感動の涙もちょっとある。だが、新型コロナのために封切り直前に上映延期になってしまった。悔しい。
青春しているのは、おばあちゃんたちだけではない。『カセットテープ・ダイアリーズ』は、1987年のイギリスで、差別や貧困、家庭のなかの支配に苦しむパキスタン移民の少年が、親父たちがよく聞いていたブルース・スプリングスティーンの音楽を心の支えにして成長していく物語。スプリングスティーンの楽曲が10数曲流れる。この音楽を元にストーリーが考えられたのではないかと思えるほど、ぴたっと合っている。
現代ロシア文学の伝説的作家ドヴラートフや、ノーベル文学賞をとったブロツキーらの青春を描いたのは『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』。ソ連に言論の自由の風が吹き始めた1960年代の「雪解け」を経て、共産党の締め付けが厳しくなった1970年代の「停滞」の時代、若き文学者たちの6日間を切り取っている。
ドヴラートフの有名な言葉がある。「世界は狂気に覆われ、狂気が正常になりつつある」。1970年代の言葉だが、50年近く経った今、この言葉がリアルに感じられる。
◆コロナ疲れを癒やしてくれる美しい生き方