新型コロナ疲れを癒してくれるのが、人間の美しい生き方だ。『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』。理想の農場をつくった夫婦のドキュメンタリーだ。その美しさに感動し、こんなコメントを書いた。
「すべての生き物の生も死も、喜びも悲しみも、認めてくれる理想の暮らし。信じられない程美しい農場。誠実な映画だ。すごい! 感動した」
『ポルトガル、夏の終わり』も、美しいポルトガルの世界遺産の町を舞台に、生と死が語られる。自分の死期を悟った女優が、一族と親友を呼び寄せた。人生、愛、生、死、友情が、言葉少なく静かに語られていく。
新型コロナをめぐる状況は時々刻々と変わり、先が読みにくい。でも、ウイルスや細菌と闘ってきた人類の歴史をみる限り、ぼくたちは必ず克つ。そう信じて、しばらく不自由な時間を何とか生きていこう。今はただ、一刻も早く、好きな映画を存分に楽しめる日が来ることを祈るばかりだ。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2020年4月24日号