芸能

安倍首相が理解できなかった星野源「うちで踊ろう」の真価

安倍首相の本人ツイートより(時事通信フォト)

 安倍晋三首相がTwitterで投稿した動画にネット上で大きな批判が巻き起こった。音楽家・俳優・文筆家と多方面で活躍する星野源が制作した「うちで踊ろう」を使用して外出自粛を呼びかけたことが、多くの人々の反感を買ったのである。「音楽の政治利用」「便乗」といった批判にくわえて、星野と同業のアーティストを中心に、音楽業界などからはさらに激しい憤りの声が上がっている。それはなぜなのか。

 少し長い前置きになるが、ことの経緯をあらためて確認しておきたい。星野源は4月2日深夜、「こんな曲ができました」とつづり、自身のInstagramでギター弾き語りの新曲「うちで踊ろう」を公開。キャプションには歌詞とともに「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」と記し、フォロワーに参加を呼びかけた。

 キャッチーなメロディにくわえて1分弱の短い楽曲であるという手軽さも手伝ったのだろう、「うちで踊ろう」は瞬く間に人口に膾炙していった。ダンサーで歌手の三浦大知やお笑いタレントの渡辺直美といった星野源と親交の深い著名人から、国内外のミュージシャン、さらには美術家や格闘家、そして一般の人々までもがそれぞれのやり方でマッシュアップ動画を制作した。

 そんな「うちで踊ろう」は多くの人々にささやかな楽しみをもたらしてきた。いまや新型コロナウイルスの影響により各地のライヴハウスは休業を余儀なくされ、多くの音楽関係者が窮地に立たされている。実際に、北海道・札幌市のライヴハウス「COLONY」は4月末での閉店を発表。仕事がなくて収入が激減したと語るミュージシャンやカメラマン、ライターも数多い。

 だが国は緊急事態宣言を発令し自粛を要請する一方で、休業補償に関しては否定的な態度をとり続けてきた。各種給付金を検討しているというアナウンスはあるものの、音楽関係者や同じく経済的打撃を受けた事業者からしてみれば、国に見捨てられたと感じてしまうのもうなずける。

 もちろん過酷な状況は経済的な問題だけではない。コロナ禍でも通勤せざるを得ないインフラ業界や医療業界で働く人々も同様に苦しい立場に置かれている。いずれにしても、そうしたさまざまな人々を「うちで踊ろう」は励ましてきたのである。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン