◆「副反応」リスク大きければ開発はストップ
安全性の評価は、投与されたすべての被験者に対して「有害事象」を収集するという形で行われる。
ワクチンの場合、体外の物質が化学作用することよりも、体内で免疫学的に起こる反応が問題となることが多い。そこで、治療薬の「副作用」とは区別して、「副反応」という用語が使われる。
副反応には、予防接種をした部位が腫れたり、赤みを帯びたり、ズキズキ痛んだりする局所反応と、発熱やリンパ節が腫れるなどの全身反応がある。局所反応や全身反応の多くは、投与後数日以内に発現するとされる。
特に、重篤な有害事象として、死亡・障害やその恐れのある症例、後世代における先天性の疾患・異常などがあげられる。こうした重篤な有害事象に対しては、詳細な報告書を作成するとともに、報告後も十分にモニタリングを行う必要があるとされている。
これらの有害事象を収集する期間は、不活化ワクチンの場合、投与後2週間、生ワクチンの場合、投与後4週間が目安とされている。電話連絡により確認したり、被験者が受診する際に日誌を回収したりして、収集される。
このように、ワクチンの場合は、安全性に対する評価がとても重視される。発症予防効果がいくら高くても、副反応のリスクが大きければ、開発はストップされる。つまり、ワクチンの開発はとても難しいということになる。