◆「仕事中だよ!」
「在宅勤務」そのものが、諍いの原因になってしまうことも。週3日は在宅勤務という都内の40代会社員・B氏がいう。
「その日締め切りのレポートを作っていたのに、専業主婦の妻にはこちらの忙しさがまるで伝わらない。イライラした様子で“パソコンいじってるなら洗濯物干すか食器洗うかしてよ”と言ってくる。こっちも“仕事中だよ!”と反論するんですが、妻にはネットサーフィンと見分けがつかないようです」
共働き夫婦だから共感しあえるとは限らない。
深夜営業メインの飲食店に勤める都内在住のC氏は、緊急事態宣言の発令以降、仕事のない日が続いている。一方、会社員の妻は在宅勤務を黙々とこなす日々だ。
「妻には仕事があるが、こちらは自宅待機で特にやることもない。こちらがリビングで寝っ転がって映画を見たり、スマホを眺めたりしていると、口には出さないが明らかに不満そうで……。その顔を見るのがイヤで、最近は公園のベンチで時間を潰してます。妻のおかげで収入が確保できるのはありがたいですが、こんな日々が続くとうんざりします」(C氏)
◆「一緒に食事」で十分
異常事態がゆえに、夫婦ともにイライラ……。そんな「コロナ不仲」の体験談が続々寄せられる一方、これを機に絆を深めた夫婦もいる。
大阪府の50代会社役員・D氏は、在宅勤務になってから妻との仲は至って良好という。
「妻とは“定年後の生活の予行演習みたいなもんだね”と話しています。日中は自室でお互い自由に過ごして、食事の時だけ顔を合わせる。夕食は妻が作るが、昼飯は僕が簡単なスパゲティなどを作ることが多いですね。
新型コロナで家にいるからといって、とくに夫婦で特別なことをしようとは思わない。でも、一緒に食事することでコミュニケーションは十分増えた。食卓で最近のニュースや、“コロナが収束したらやりたいこと”を話し合うことで、お互いの考えがより理解できるようになった」(D氏)