パチンコ店の苦しい経営事情を取材したライターの河原みのり(撮影/工藤ユキ)
とはいえ、ユーザー側からは「莫大な売り上げがあるじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、M氏はこう苦しい財務状況を説明します。
「どんなにキツめの調整営業をしても、取れる粗利は売り上げの2割~3割程度です。世間的にはかなり抜いているイメージがあるかもしれませんが。稼働がめちゃくちゃ良いお店は別としても、実際はそこまで粗利が取れているケースは少ないと思います」
ギリギリの中で毎日お店をまわしていくのがやっとのことだったそう。そんな頭を悩ませているところに、追い討ちとも言える「新型コロナウイルス」が日本にも上陸、猛威を振るい始めました。緊急事態宣言が発令され、パチンコ店も次々に休業が始まります。
「うちも大手パチンコ店同様、宣言発令翌日の4月8日からきっちりすぐに休みたかったですが、社長の指示により休業できず、ずるずると4月20日まで営業が延びてしまいました」
来店するお客さんはもちろんのこと、従業員側も感染のリスクがある中でお店を開くのは、相当心苦しかったと言います。
「周りの店が休み始めてからは、やはり稼働は集中し、売り上げ、稼働などすべての面で前年比、先月比の2倍の営業成績を叩き出しましたが、気が気ではありませんでした。
ただ、お客様もそこまで危機感がないのか、マスクをせずに来店される方も多く見られました。なので、アルコール消毒液は常備、自店で用意したマスクを無料配布し、遊戯中は着用をお願いしました」
できる限りの工夫を凝らしながら営業していたようですが、お客さんは増えてしまい戸惑う一方。さすがにこれ以上は……と耐えかねて、4月20日には上からの指示で休業に入ったそうです。