エクアドルではコロナ対策で理容師たちは屋外で客の散髪(EPA=時事)

エクアドルではコロナ対策で理容師たちは屋外で客の散髪(EPA=時事)

 東京都では、一定期間の休業をした理容室に対し、15万円ほどの補償金が出ることになったが、千葉県では自粛要請もなければ、補償金や協力金が支払われるという話もない。100万円の「持続化給付金」はもらえる算段だが、3月以降の売り上げは大赤字。家賃と人件費を払えば、100万円では全く足りない。

「飲食店経営の知人からは、店を堂々と明けられるだけマシ、と言われましたが全然違う。客が来ないんですから」(相根さん)

 相根さんから見れば「羨ましい」はずである東京都内の理容室はどうか。千葉と違って、4月30日からゴールデンウィーク明けまでの1週間を休業した店舗に15万円が、複数店舗の経営者には30万円が支払われるというが……。

「地獄ですよ。理容室は中高年客が多く、コロナの不安から来店を自粛している。近くの美容室には、若い客が殺到しているのに、うちは日に客がゼロの日もある。15万円だって、理容師たちが自粛要請から外れたことに猛反発して、後付けでできた給付制度です。そりゃないよりあった方が良いですが、3月頃から客足は減っていて、店を開けていても閉めていてもあまり変わらないような状況でした。休業要請がないから開けざるを得ず、でも客は来ず、恐怖の中で接客しなければならない」(都内の理容室店主)

 同じような事例は、休業要請から外れた「ホームセンター」でも見られた。ただしこちらは、ゴールデンウィーク期間に客が殺到。営業的には良い面もあったが、接客に当たった従業員はコロナへの恐怖と退治しながら、神経をすり減らしたと話していた。前出の相根さんがいう。

「いろんな人の思惑で、休業要請が出る、金が出る出ないが決まっていき、現場の声や生活の実態は全く制度に反映されていない。国も県も、そして理容師の団体ですら、我々末端のことを考えてくれない。もう何もかも信じられません」(相根さん)

 特定警戒地域以外のエリアで緊急事態宣言が解かれ、相根さんの理容室、都内の理容室にも客足は戻りつつあるというが、それでも不安は消えない。もはやそれはコロナウイルスへの恐怖からではなく、役所や組合など、自身を助けてくれない国や人によって生まれているのだ。

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