芸能

『愛の不時着』、ヒット背景に北朝鮮描く綿密なリアリティー

世界中で大ヒットの理由に「北朝鮮への探求心」も(Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中)

 日本で韓流ブームに火をつけ、「ヨン様ブーム」と呼ばれる社会現象となったドラマ『冬のソナタ』の放送から17年。各々が外出を自粛し「おうち時間」を過ごす中、動画配信サービス「Netflix」で今年2月から配信されている韓国ドラマ『愛の不時着』が新たなブームを巻き起こしている。韓国の財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン・38才)がパラグライダーの事故で北朝鮮に不時着し、そこで出会った北朝鮮の将校・リ・ジョンヒョク(ヒョンビン・37才)と恋に落ちる物語を描く。

 これまでの韓国ドラマといえば、「ストーリー展開がありきたり」だと評されるものや、恋愛要素に重点を置いているものが多く、苦手意識を持つ人も少なからずいた。本作はそういった固定観念も覆している。

「ただのラブロマンスかと思いきや、主人公を陥れようとするヒールが暗躍するサスペンス要素もあり、緊張がほどけてほんわかとするお笑いもある。脇役のサイドストーリーがしっかりと描かれていて、男性目線でも飽きることがありません」(42才・男性会社員)

財閥令嬢がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着したことから恋物語は始まる(Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中)

 なかでも視聴者からの支持率が高いのは、ジョンヒョクの部下の中隊員たちだ。

 口が悪く常にセリとやり合うが本当は誰より心優しいピョ・チス、北の軍人なのに韓流ドラマを隠れて視聴する韓国通のジュモク、クールなイケメンのグァンボム、最年少で家族思いのウンドンという4人とセリの国境を超えた交流は、どこまでもユーモラスで涙が出るほど温かい。

『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)の著者でライターの西森路代さんはこう語る。

「セリとジョンヒョクの仲を応援する4人は白雪姫の7人の小人のような存在です。これまで韓流ドラマは脇役が4人集まれば『F4』(ドラマ『花より男子』に由来)と呼ばれ、全員がイケメンのケースが多かったのですが、今回は見た目も年齢もバラバラ。だからこそイケメンのグァンボムがソウルでスカウトされるシーンが笑えるし、ウンドンの幼さと純粋さが際立ったりする。個性豊かだから、4人のキャラクターがすっと視聴者に伝わります」

印象的なふたりの出会いのシーン(Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中)

◆脱北者に聞き込みをした

 物語前半の舞台が北朝鮮であることも大ヒットの要因といわれる。韓国エンタメに詳しいライターの佐藤結さんが指摘する。

「このドラマは日本だけでなく、アメリカでも好評です。それは近年のニュースでよく取り上げられるミステリアスな国・北朝鮮のことを知りたいという気持ちがあるからでしょう。企画段階から平壌で映画を学んだ脱北者に現地の様子を聞き込み、ほぼ鎖国状態にある北朝鮮のリアリティーを追求したそうです」

 実際、ドラマでは北朝鮮の知られざる日常生活が多岐にわたって登場し、エンタメ性と社会性がうまく融合している。

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン