安田記念は東京競馬場のワンターン1600m

 GⅠ馬勲章の効能から考えると、アーモンドアイで鉄板のようだが、GⅠ級牝馬は分が悪い。これまで35頭が出走しているが、勝ったのは2008、2009年連覇のウオッカだけ、2着は2005年のスイープトウショウとここ2年のアエロリットだけ。つまりG1牝馬で連対したのは3頭しかいないのだ。ニシノフラワー、スティンガー、三冠牝馬アパパネ、そして昨年のアーモンドアイも1番人気に推されながら敗れている。

 かつて国枝調教師が凱旋門賞回避を発表したとき口にした「熱中症のような症状」というコメントは説得力があった。これまで3回しか敗れていないが、そのうち2回が6月と8月、つまり気温の上がる夏であるというのは偶然なのか。その2戦の他、これまで6~9月の出走経験がないのは、シーズンオフだからということだけなのか。スタート後の不利が敗因だといわれている昨年の安田記念も、彼女本来の力をもってすれば、克服可能ではなかったか‥‥。

「いつも全力で走ってしまう」というコメントも分かりやすい。これまでのレース間で最も短かったのは秋華賞とJCの間で41日間。今回はそれを大幅に更新する最短の20日間。「一叩き」という言葉とは無縁だったこの馬にとって、初めての経験であることは間違いない。

 ということで1番手は限定GⅠだけでなく香港マイルまで勝っているアドマイヤマーズ。気になるのはNHKマイルカップでは3頭の勝ち馬を出しているダイワメジャー産駒が、安田記念では掲示板にすら載ったことがないこと。だが、それをいうならサンデーサイレンス直子も2007年のダイワメジャーまでこのレースを勝てなかった(ダンスインザダーク産駒が先に勝っている)。

 相手はアーモンドアイを筆頭に人気上位馬が占めそうだが、あえて穴馬をあげるとすれば8歳の非GⅠ馬クルーガー。昨年4月には59キロを背負って、GⅠ25連勝を飾ったウィンクスの2着。今年4月にはアドマイヤコジーンやロゴタイプを凌ぐ4年ぶりの勝利をあげたばかり。母の父は2000年のこのレースで2着に食い込んだディクタット。血統好きならば、この馬をスルーすることはできないはずだ。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター

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