このように、今回の大学入試改革に合わせ、共通テストの活用が私立大でも進む。昔は1大学1学部1方式で、不合格になったら翌年受け直すしかなかった。それが細分化され、何度も受けることが可能になっている。
大学通信の調査では、一般選抜において、1999年には1大学の入試方式は平均2.8だった。センター試験利用入試とか、2月試験と3月試験などが実施されていた。それが2009年には5.3方式に増加し、2019年には6.6方式と、各大学は20年前の倍以上の方式を用意している。少子化で受験生が減少し、それまでの受験生を落とす試験から、いいところを評価して合格させる試験に替わり、入試方式が急増している。
さらに、来年の入試改革以上に影響しそうなのがコロナ禍だ。受験生の多くは3か月近く授業を受けていない。オンライン授業を行っている学校もあるが、これも学校によって異なり、学校間格差が広がっている。このままでいけば、浪人生有利になりそうだ。また、この間、一人暮らしの学生への保護者の不安も大きかったため、来年入試では地元志向が強まる可能性は高い。
新型コロナの感染拡大によって、世界的に経済活動に陰りが見られている。そうなると、就職動向が志望校選びにも多大な影響を与えそうだ。ここ数年、売り手市場になり、好調だった企業の採用は減少に転じると見られている。
そうなると、まず採用が減るのが事務系だ。過去のバブル経済の崩壊、リーマン・ショック後と同様に、就職率の高い理系人気が高まる。今年と同じように理系学部の人気が高く、文系学部の人気が低い“理高文低”の傾向は一層強まりそうだ。
理系の中でも、来年は情報系の人気がさらに高まるのではないだろうか。AI、IoT、ビッグデータのビジネスへの活用など、情報系はこのところ人気になってきた。
コロナ禍によって企業においてはテレワークが推奨され、自宅で仕事ができる、会議ができるなどの環境整備が進んだ。大学でも今年の前期はオンライン授業が当たり前になり、環境整備を急いだ。このことでも関心が高まり、来年入試では情報系人気がさらに高まりそうだ。