両陛下は保健所関係者から感染症対策について話を聞かれた(6月3日、東京・港区。写真提供/宮内庁)

 雅子さまが2018年、55才の誕生日に際して発表したご感想文書だ。雅子さまは昨年12月の誕生日にも《日本国内の貧困や子供の虐待》について《心が痛みます》と述べられている。

 新型コロナは、そんな経済的困難を抱える子供にも深刻な影響を与えている。

 世界では2020年末までに貧困下の子供が約15%増加し、最大8600万人の子供が新たに貧困レベルの生活に追い込まれる恐れがあるという。

 日本でも子供の貧困は大問題で、現在、日本の子供の貧困率は約14%と先進国の中でも突出して高い。新型コロナによりその数はさらに増える見込みだ。

「学校が一斉休校になり子供の世話が増え、仕事へ行けず収入が減った」「給食がなくなり、子供に充分な栄養のある食べ物を食べさせられない」――支援団体にはそんな相談が相次いでいるという。なかには「生活費がなくなり、子供4人を抱えて心中するしかない」という深刻なものもあったそうだ。

「両陛下はそうした現実に心を痛められ、子供の生活についてのご進講を積極的に受けられているようです。5月14日にも、両陛下は子供の貧困対策の現状について、内閣府の担当者からご進講を受けられています。短期間のうちに同テーマで2度も話を聞かれるのは、それだけ強い思い入れがおありになるからでしょう」(別の皇室ジャーナリスト)

 両陛下は実態を把握されるための情報収集をされるだけでなく、実際に行動にも移されていた。

 新型コロナ流行の影響が経済的に深刻化してきた今年4月、天皇陛下は「子供の未来応援基金」に5000万円を寄付された。

「それは“お手元金”と呼ばれる、天皇家の私的財産から出されたものです」(別の宮内庁関係者)

 2003年に政府が設立した「子供の未来応援基金」は、子供の貧困をなくすための活動をする団体を支援する基金だ。

「振り返れば、上皇陛下も即位関連行事を終えた1990年、『社会福祉法人こどもの国協会』に5000万円を寄付されました。横浜市にある遊園施設『こどもの国』の敷地は、旧日本陸軍の弾薬庫跡で、“戦争のない世の中で、子供たちにすくすく育ってほしい”という願いが込められているそうです。そこを寄付先に選ばれたのは、戦争を経験された上皇上皇后両陛下らしいものでした」(前出・別の宮内庁関係者)

 天皇皇后両陛下は、そうした平成のやり方を踏襲されつつも、令和においては雅子さまが熱心に取り組まれる「子供の貧困問題」に特化した基金へとこだわって、寄付先を決められたのだろう。

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