国際情報

北朝鮮の“女帝”金与正氏の微笑みに隠された「だまし絵」

予告通り跡形もなく崩れ去った南北共同連絡事務所(写真/朝鮮通信=時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、北朝鮮の南北共同連絡事務所の爆破を指示した金与正(キム・ヨジョン)氏について。

 * * *
 北朝鮮の開城(ケソン)工業団地にあった南北共同連絡事務所が6月16日、予告通り木端微塵に爆破された。南北融和の”象徴”として建てられた同事務所の破壊は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとっては、自身の一番の業績を吹っ飛ばされた瞬間でもあった。爆破のきっかけは、韓国の脱北者団体が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の体制を批判するビラを散布したこと。事務所が入っていた建物は爆発音とともに崩れ落ち、もうもうと土煙が立ちのぼった。

 テレビで時々目にするような、建物がストンと足元から崩れていく古い大型ビルの解体などとはまったく別物。周囲の建物への影響など考慮されることもなかったであろう“破壊”の映像はインパクト大。同時期に、平壌の日常を紹介する若い女性YouTuberが話題になったが、“官製”である彼女が普通っぽい国の雰囲気を醸し出そうとしていただけに、やっぱり北朝鮮は北朝鮮なのだと思わされた。

 それ以上に「やっぱり」と思わされたのは、金委員長の実妹で党第一副部長の金与正氏だ。爆破が予告されたのは6月13日の談話でのこと。予告した与正氏の言葉は「遠からず北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」という、いかにも北朝鮮の”女帝”らしいものだった。

 多くのメディアが指摘するように、この爆破は与正氏が前面に立ち、軍に指示を出せる立場と権限を持つようになったことを内外に印象付けた。存在感を見せつけたのだ。人々がこれまで持っていた与正氏への認識やイメージを一気に変えるには、強烈なインパクトのある爆破は打ってつけだっただろう。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン