ライフ

農業高校卒ライター「早大卒」と詐称した後の針のむしろ人生

オバ記者が“学歴詐称”の過去を明かす

 体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”ことライター・野原広子(63才)が、話題のトピックについて、自由な意見を綴る。今回のテーマは「わが学歴詐称の記」だ。最近は小池百合子東京都知事の「学歴詐称疑惑」が何度も取沙汰された。

 * * *
 ここ1か月でいえば、いちばん人の口にのぼった四字熟語は、間違いなく「学歴詐称」。連日その名を聞かない日はない、あの女性を引き合いに出すつもりはないけれど、実は私、2年間だけ、わけあって学歴を詐称していた過去があるの。それも、言いも言ったり、「早稲田大学卒」。

 ありえません。

 私の卒業した茨城県の農業高校は、ペンを持つより草刈り鎌を持つ時間の方が長いところ。上京して住み込みの店員になった18才の私にとって「大学生」は、学校や誰彼に関係なく、全員憧れだったもの。

 それが、ひょんなことからライターを志し、いくつかのラッキーをつなぎ合わせ、どうにかカッコウがついたのは30才前後。で、調子に乗って編集プロダクションを立ち上げたはいいけれど、もともとお金の計算は大の苦手。

 どんぶり勘定のどんぶりは小さくなる一方でね。もうダメ、今月こそアウト、と40才を目前にしてどうにもならなくなったとき知り合ったのが、2才年上のブティック経営者・S子さんだったの。

「家賃がきつい。事務所を解散したい」

 ある日、彼女の店で弱音を吐くと、「じゃ、全部畳んでうちにおいでよ」と言う。彼女は東京の一等地、渋谷区にマンションを一棟持っていて、そこに格安の家賃でいいから引っ越してこないかと、夢のような提案よ。

 S子さんの“好物”は学歴。誰かを紹介してくれるたびに、「彼女、ポン女卒。優秀よ~。お姉さんはお茶大だって。高学歴姉妹よね」などと、歌うように言うの。

 その後で必ず私の最終学歴も聞いてくるのが困りもので、「農業高校卒」と本当のことを言うこともないか…そう思って、黙ったり、話を変えたりしていたわけ。

 そんなこんなで2か月ほどたって、引っ越したその日のこと。私の大家さんになったS子さんは、積み上げた荷物を横目に見て、「引っ越し祝いをしてあげる」と食事をおごってくれた。その帰り道で、「ヒロコちゃん(オバ記者)、早稲田だよね?」とマジメな声で聞くんだわ。

 思えば、「ライターって早稲田が多いんでしょ?」「いろいろだよ」「でも、ヒロコちゃんは早稲田って感じ」「まさか」──と、S子さんの口からそれまで何度も早稲田という大学名は出ていたのよね。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン