芸能

厳しかった6代目笑福亭松鶴、辞めようとした弟子に見せた涙

紫綬褒章を受章した松鶴さんを弟子たちが囲む。前列左から笑福亭仁鶴、松鶴さん、妻の寿栄さん、中列右が笑福亭鶴瓶、後列左から2番目が笑福亭松枝(1981年、写真/松枝さん提供)

 愛する家族が相続トラブルに巻き込まれないために、最後の責任として「遺言書」を残すことが重要。しかし、時には数十年経ってから、遺言書が見つかることもある。

 6月5日に関西テレビ『桃色つるべ~お次の方どうぞ~』に出演した笑福亭鶴瓶(68才)は、1986年9月に肺炎による心不全でこの世を去った6代目笑福亭松鶴さん(享年68)の遺言書が、昨年になって見つかったと明かした。

 生前の松鶴さんは一度も鶴瓶に稽古をつけたことがなかったが、松鶴さんの遺言には、「ほっといた方がいい、こいつはこのままでええんや」と書いてあったという。松鶴さんの4番目の弟子である笑福亭松枝(69才)が話す。

「遺言書の詳しい内容はわかりませんが、師匠が亡くなった際、弟子に向けたメモが病室にあったんです。『次はこの名前を襲名しなさい』ということが書いてあって、私らは師匠からの遺言やと思っています」

 桂文枝、桂春團治、桂米朝とともに「上方落語四天王」と呼ばれる松鶴さんは、「飲む・打つ・買う」を地で行く昔気質の芸人だった。

「『来る者は拒まず、去る者は追わず』というのが松鶴のポリシー。米朝師匠のところは入門するのに審査がありましたが、松鶴の場合は誰でもOK。ただし、その後が大変。当時、師匠は大阪・住吉区の長屋に住んでいて、その中のひと間が師弟の稽古場になっていたのですが、毎日、『違う、あほんだら、ボケ、カス、去(い)ね!』と怒声が飛んでいました」(松枝・以下同)

 顔を真っ赤にした松鶴さんが灰皿をテーブルに叩きつけるたび、弟子たちは震え上がった。松鶴さんの厳しさについていけず、次々と弟子が去っていく中、松枝には忘れられない記憶がある。

 ある日、大阪万博関連の仕事のオーディションがあり、松枝は同期の仲間と一緒に受けたが、1人だけ落ちてしまう。落胆する松枝を、松鶴さんは名古屋の寄席に同行させ、前座に抜擢した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン