日中がダンマリを決め込む一方、苛烈に反応しているのが韓国だ。
暴露本では、2018年に行なわれた史上初の米朝首脳会談について詳述しているが、ボルトン氏は「私の希望はすべてが潰れればいいということだった」と振り返り、「この外交ダンスはすべて韓国の創作物」であるとして文在寅・大統領や鄭義溶(チョン・ウィヨン)・国家安保室長を痛烈に批判している。韓国・大統領府は「相当部分が事実を大きく歪曲している」と文書を出した。
さらに24日、韓国与党「共に民主党」の最高委員会議で、金泰年(キム・テニョン)・院内代表が「ネオコン・ボルトンや日本の妨害によって、70年間の分断を終え、韓半島統一への歴史的転換となる千載一遇の機会が失われたのは嘆かわしい」と発言した。
「米朝交渉が進まず、北朝鮮の強硬姿勢に頭を痛める韓国にとって、この暴露本は弱り目に祟り目。ボルトン氏を痛烈に批判して、トランプ氏にもっと朝鮮半島に目を向けてほしいという思いが読み取れます」(前出・潮氏)
ボルトン氏の暴露本は、大統領の秘密だけでなく、各国の「トランプ氏との距離感」の難しさをあぶり出した。
※週刊ポスト2020年7月10・17日号