国内

「日本一の富豪村」が全世帯に3万円支援できる謎とその原資

神戸市東灘区の住吉学園

 6月に入り、神戸市東灘区の一部の家庭に、1通の封書が届いた。青い封筒には〈住吉在住の皆様へ 復興支援金のご案内在中〉とある。その中には、〈新型コロナ復興支援金として、住吉町内にお住みの方々一世帯当たり金3万円を支援する事を決定致しました〉との書面が。差出人は〈一般財団法人 住吉学園〉。これは、一体──。

「封筒の中の申請書に氏名や振込先口座を書いて、住民票などと一緒に返信用封筒で送れば、3万円がもらえるというんです。区役所とかの案内じゃなかったから、正直、詐欺やと思いましたわ」

 数年前に引っ越してきた60代男性はそう話した。本誌・週刊ポストは早速、差出人の「住吉学園」に連絡を取った。すると、竹田統・理事長が取材に応じた。

「私たち『住吉学園』は、1995年の阪神大震災の時も、地元で半壊以上の世帯に10万円といった見舞金を出しました。今回も地元の自治会から相談があり、1世帯3万円の支援を決定した。対象は『旧住吉村』の自治会9地区の約1万8500世帯。支援総額は約6億円です」

 支援金は本物だったが、配る主体は行政ではなく「一般財団法人」で、「旧住吉村」の住民が対象だという。どういうことか。

◆ケタ違いの税収があった

「住吉村」は、1950年に近隣3町村とともに神戸市と合併。地図から消えた村だ。現在の住所は東灘区の住吉南町、住吉東町、住吉宮町などに分かれ、六甲山から瀬戸内海沿いまで南北に長い地域が該当する。竹田理事長が説明する。

「住吉村には古くから、住吉川を利用した水車産業などで富を得た豪商たちが住んでいました。鉄道が開通すると住友財閥の総本家や野村財閥の野村徳七、久原財閥の久原房之助といった財閥の当主、武田薬品工業の武田長兵衛、日本生命保険の弘世助三郎、伊藤忠商事の伊藤忠兵衛といった日本を代表する創業家が私邸を構えるようになり、1900年頃には“日本一の富豪村”と呼ばれるようになった」

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン