大型SUVの弱点は燃費の悪さである。重い車体を走らせるだけでもエネルギー消費量は大きくなるものだし、車体が大きければ風を受ける前面投影面積も当然増えるので、空気抵抗の面でも不利だ。
だが、最近のSUVはその物理制約を乗り越えることはできないまでも、さまざまな技術を投入することでその問題を軽減している。ヨーロッパをはじめ世界の各市場でCO2(二酸化炭素)排出量規制が強化されている今、燃費の悪いクルマばかりでは企業としての存続が危ぶまれるからだ。
試乗車のボルボXC90 B5は、通常のエンジンに加えて最大出力10kW(13.6ps)のごく小さい電気モーターを装備し、ベルトを介してエンジン出力を補助したり、ブレーキ時に発電して減速エネルギーを回収するマイルドハイブリッドシステムを持つ。
モーター単独での走行が可能なストロングハイブリッドに比べると効果は限られたものだが、それでも非ハイブリッドに比べるとそれなりの燃費向上が果たされている感があった。1200kmドライブの通算燃費は12.2km/Lと、2.1トン台のSUVとしては十分に受け入れられる数値であった。
ちなみにドライブの終盤、一昔前のホンダのマイルドハイブリッドで燃費を伸ばすコツを応用して運転してみたところ、同じマイルドハイブリッドであるためかボルボXC90でもそれは有効だった。燃費推移のディスプレイ値を見るに、長距離移動では15km/Lを上回るドライブも可能であるように思われた。ディーゼルほどではないにせよ、エコドライブの資質は確実に上がっていると言えそうだった。