では、実際のドライブに話を移そう。大型SUVの第一の快感は、ゆったりとしたクルーズフィールだ。ボルボXC90は乗用車ベースのモノコックボディを使って作られているので、全長4950×全幅1930mmというサイズの割には軽量に作られているが、それでも空車重量はエアサス装備で2140kgに達する。
重量は運動性能や燃料消費量においてマイナスに作用するが、路面のうねりやワダチを踏んだときの衝撃級数やフラットな姿勢の保持についてはプラスに作用する。
東北自動車道のような路面の良いところで乗り心地が滑らかなことは言うまでもないが、たとえば首都高速の老朽化路線のようなガタガタな場所で片輪が道路の凸凹を踏んだりしても、ボディの重量が生む慣性と車幅の大きさのコンボで、左右に揺すられる角度は極めて小さい。路面の不整のほとんどを四輪の上下動で吸収し、その上のボディは徹頭徹尾平和が保たれるのだ。
そんな快適性を持つ一方で、動きが思いのほか機敏なのも大型SUVを走らせる楽しさのひとつである。
ボルボXC90の場合、全高は1775mmもあるが、全幅に対する比率は0.92。全幅1695mmの5ナンバーであれば、全高1560mm程度。セダン系よりは高いとはいえ、ミニバンに比べると案外低重心なのである。
先に記したように空車重量が2140kgもあるのは運動性能面ではネガティブに作用するが、ボルボに限らずオンロード走行を強く意識した最近の大型SUVは、ハイグリップタイヤを履くことでその問題を解決している。
ボルボXC90のタイヤはコンチネンタル社製のハイブリップタイヤ「SportContact5」で、サイズは275/45R20。一昔前ならスーパースポーツカーが履いていたようなシロモノである。それを大きな重量で路面に圧着させているのだから、コーナリングでのグリップの安定性はすごい。高速から山道まで、恐いものなしといったフィールである。