赤ちゃんを遺棄や虐待から救うために誕生した「赤ちゃんポスト」。2007年5月、前年に発覚した乳児遺棄事件をきっかけに熊本市の慈恵病院に設置された。正式名称は「こうのとりのゆりかご」。親が育てられない子どもを匿名で預かるもので、2020年3月までの約13年間で155人が預けられている。
そんな『赤ちゃんポスト』の裏側に迫るノンフィクション『赤ちゃんポストの真実』(森本修代・著、小学館)が刊行された。これまで大手メディアで取り上げられる”美談”からこぼれ落ちた、関係者らの声を丹念に辿り、知られざる姿を浮き彫りにしている。
今一度、注目が集まる「赤ちゃんポスト」がどのように世間に影響を与えてきたのか。「赤ちゃんポスト」関連年表として、歴史を振り返る。
2000年4月
ドイツで赤ちゃんポスト「ベビークラッペ」設置
2004年5月
慈恵病院病院理事長・蓮田太二氏がドイツの赤ちゃんポスト視察
2006年1月
熊本県警がトイレで女児を産み落とした21才の母親を殺人容疑で逮捕
11月
慈恵病院が赤ちゃんポスト設置構想を公表
12月
慈恵病院が赤ちゃんポスト設置に伴う建物の変更を熊本市に申請
2007年2月
安倍晋三首相(第一次政権)が「抵抗を感じる」と反対姿勢
4月
幸山政史熊本市長(当時)が病院施設変更を許可
5月
赤ちゃんポスト運用開始。初日に3才児が預けられる
9月
熊本市が運用状況を検証する「こうのとりのゆりかご専門部会」を設置