スポーツ

夏の福島競馬の名物重賞・七夕賞は「小倉巧者」も狙い目

今年も高配当必至か

 荒れるレースを好機と捉えるか敬遠するか。競馬ファンも二分されるところだが、予想の観点からすれば面白さしかないはずである。競馬ライターの東田和美氏が七夕賞(GIII)を分析した。

 * * *
 平成以降1番人気がわずか4勝。5番人気以下が15勝もしており、馬連が3桁(100円台)だったのは、わずかに1回。過去10年だけでも馬連万馬券は4回、3連単の百万馬券が2回出ている福島の名物重賞、一筋縄ではいかない。

 もちろん、この時期古馬一線級の出走はない。ここでの勝利が初の重賞勝ちだったという馬が16頭だが、ツインターボなど3頭はこのレースの前に福島の重賞を勝っている。

 今年の出走馬も11頭が福島コースを走ったことがあり、8頭が勝利をあげている。1戦1勝馬2頭を含めて「5頭が連対率10割」と伝えているメディアもあった。ヴァンケドミンゴなどは、関西馬でありながら全4勝すべてが福島でのものだ。 

 しかしこのレース、言われているほど“福島巧者”の天下とも思えない。福島競馬場で行なわれた過去20回で見ても、福島に勝ち鞍がある馬の勝利は6回。2007年のサンバレンティンが前年の福島記念を含む2勝をあげていたが、あとは1勝しているだけだ。

 勝ち馬を眺めてみると、むしろ7頭に小倉競馬場での勝ち鞍があることに気づく。なかでも2005年に小倉三冠(小倉大賞典、北九州記念、小倉記念)などを勝ったメイショウカイドウは【8 1 2 3】という驚異的な小倉実績を引っ提げて2006年7月の福島に初見参、59キロを背負いながら前走でGⅡ金鯱賞を勝った1番人気のコンゴウリキシオーなどを退けている。その他2010年のドモナラズは小倉で2勝、2014年のメイショウナルトも小倉記念など3勝。2016年のアルバートドックも小倉大賞典の覇者だ。

 福島も小倉もメイン開催は猛暑の時季。小回りでほぼ平坦、直線が1mしか違わないこともあって、適性馬が同じというイメージが関係者にはある。そういえば競馬場の規模や空気感もなんとなく似ている気がしないだろうか。

 しかし美浦の所属馬にとって小倉競馬場はあまりに遠い。冬の開催では芝のレースを求めて遠征・滞在することもあるが、夏場の長距離輸送はリスクが高すぎる。東西格差の最大原因ともいわれている所以だ。

 一方、栗東サイドにしてみれば、東京や中山より距離的には長くなるが、交通量が比較的少ない北陸道から磐越道というルート使うため、輸送が大変という意識はあまりない。

 事実、七夕賞はここ10年だけでも関西馬が7勝しているが、小倉記念はずっと関東馬の勝利がない。2006年から1200mになった北九州記念はスプリンターズSの前哨戦という意味合いも出てきたため2016年に関東馬が勝っているが、それ以外は出走馬もほとんどいない。

 ヒンドゥタイムズは今回がオープン入り初戦。これまで2000mばかり9走して5着以下がなく、新馬勝ち直後の2戦目にはGⅢ京成杯に挑んで2着とクビ差3着。昨夏の小倉2勝クラスでは1番人気に推されながら2着だったが、勝ち馬とは同タイムで、小回りを苦にした印象はなかった。今回が初めての福島。東京や中山で連を外していることから、陣営では輸送を課題にあげているが、むしろこのキャリアにもかかわらず、どこへ行っても崩れないと評価すべきではないか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン