「モニタリング検査は、結果が判明する前に輸入が認められます。輸入業者の多くは結果が出るまで流通を控え、違反が発覚したら全量廃棄などの処置を取りますが、中には結果を待たずに取引先に卸す業者がいる。検査結果が出たときはすでに消費者に回っていることもあります」(同前)
こうした現状に、スーパーや飲食店も苦慮している。大手スーパー関係者は言う。
「うちは生鮮に関しては中国産を使っていません。これまでいろいろと問題があったし、お客様からの声もあります。ただし、冷凍食品や加工食品はメーカー次第なので信用するしかないし、うちも惣菜については答えを控えます。品揃えの確保もあるから、中国産に頼るのは多少は仕方ない部分があります」
居酒屋チェーンの関係者もこう言う。
「コストが安いためメニューの多くで中国産を使っていますが、やはり食の安全性には不安がある。各取引先から輸入の検査結果を提出してもらっていますし、自社でも食材から一部抽出して成分調査を行なっています」
中国産食品がなければレストランやスーパーそのものが立ち行かなくなるという現実がある以上、食の中国依存がすぐに変わることは現実として難しい。だからこそ消費者も食の安全とリスクについて、知識と理解を深めていくしかない。
※週刊ポスト2020年7月24日号