当歳市場で最高額のヒルダズパッションの2020(写真:Japan Racing Horse Association)

 2017年の当歳市場取引価格上位10頭(うち牝馬1頭)、2018年の1歳馬市場上位10頭のうち、クラシックに出走を果たしたのが、アルジャンナ(1億7000万円)とサトノフラッグ(1億6500万円)、肉薄したのがアドマイヤビルゴ(5億8000万円)とポタジェ(1億9000万円)。また、2018年の1歳市場でリザーブ価格2500万円ながら1億8000万円まで値を上げたダノンファラオは、8日のジャパンダートダービーを勝った。20頭のうち12頭が勝ち上がっている。

 もっとも投資金額にはまだまだ見合わない。1200万円で取引されたデアリングタクトのような逸材を探し当てたいもの。それもまたセレクトセールの妙味だ。

 ハーツクライやロードカナロアはもちろん、複数の初年度産駒の活躍からキズナ、デアリングタクトでエピファネイア、ノームコアやブラストワンピースでハービンジャー、キセキでルーラーシップと上場頭数の多い種牡馬には、誰でもすぐピンとくるような代表産駒がいる。

 そんな中、当歳市場でオルフェーヴル産駒が1頭も上場されなかった。2015年に3400万円で落札されたエポカドーロが皐月賞を勝っているように、けっして上場馬の成績が悪いわけではない。確かに高額で取引された馬の成績はいま一つだが、それはオルフェーヴルに限ったことでもない。エポカドーロが古馬になってから低迷(といっても走ったのは2戦だけなのだが)、ラッキーライラックもアーモンドアイの後塵を拝したことで大物感が薄れてしまったか。種牡馬リーディングでも2018年は13位、2019年は10位。能力よりも気性の悪さが煙たがられているとしたら残念。2019年の種付頭数も前年の半数以下、52頭にとどまっていた。

 オルフェーヴル自身、京王杯2歳Sでは10着に敗れ、シンザン記念、きさらぎ賞でも勝ち切れなかったもののスプリングSを勝ったあたりから本格化。皐月賞を4番人気で勝った後の実績は文句なし。阪神大賞典で見せた“暴走”などもむしろ底知れない能力を感じさせた。凱旋門賞連続2着という実績は記録にも記憶に残る。今年はラッキーライラックが大阪杯を勝つなど、ここまでリーディング4位につけている。突然、超大物が出てきそうな気もする。余談かもしれないが今年のサンデーサラブレッドクラブの1歳馬募集でも人気上位馬の父親として顔を出していた。

 もう1頭心配なのがモーリス。当歳では8頭が上場されたものの2頭は主取。最高価格は3900万円に留まる地味な結果。昨年も頭数のわりに熱量が控えめで、2歳馬の成績も出遅れの感がある。ただしモーリス自体、2勝した後のシンザン記念、スプリングS、京都新聞杯では馬券圏内に入れず、オープン入りしたのは4歳3月。そこからは内外のGⅠ6勝を含む9戦7勝。早急に結果を求めることの愚を教えてくれたはずだ。今週末の函館2歳Sで結果を出すかもしれない。

 両馬産駒のこれからの活躍と、来年のセールでの巻き返しを期待したい。セレクトセールは、日本競馬の未来に大きな影響を与えるのかもしれないが、もう一度吉田照哉氏の言葉を噛み締めたい。「どの種牡馬の子が走るのかは誰にもわからない」。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター

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