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2020.07.19 16:00  NEWSポストセブン

コロナ禍で「ハーレム」を謳歌する48歳資産家男性の成功思考

 独特のオイルの香りを残して、上条さんの高級スポーツカーは去って行った。そのあとは私と残されたメンバーとで上条さんのヤバい噂話に花が咲いたが、彼ほどではないにしろ若い女の子と最近付き合い始めた男性はいた。性に貪欲かつ金に余裕のある男性にとって、コロナはある意味パラダイスなのかもしれない。

 終戦直後、経済的に困窮した旧華族の娘が成金に貰われた歴史があった。コロナ後もそこまでの社会変動ではないにせよ、市場における女の子の価値は大暴落している。男が悪いわけでもなく、女が悪いわけでもない。心とか愛とか、そんなものを必要としない人もいる。売春防止法や刑法にでも抵触しなければ自由恋愛の範疇だ。お育ちのよろしい方々や潔癖なご家庭の方々には理解できない世界で許しがたいだろうが、価値の暴落した女の子を富裕層がはべらせる世界が存在する。絶望的な敗戦後、美しく散るはずだった特攻隊員は闇屋となり、戦死した兵士の妻は新しい恋を求めた。安吾は「人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ」と『堕落論』に著した。そして「生きよ堕ちよ」と混迷の社会に魂の一石を投じた。このコロナ禍、まさに安吾の書いた世界が再現されている。

 私はそんな世界を嫌悪するが、それでも生きる人間を、ある意味たくましいパパ活の女の子たちを嫌悪しない。これからもコロナによって人生を狂わされる人間がいるだろう。それで儲ける連中も、上条さんのように饗宴を楽しむ連中もいる。それを許しがたいと他人に対してひどく道徳的な人間もいれば、それを綺麗事だと揶揄する人間もいる。人間とはどこまでも自分こそが先に立つ生き物であり、それこそがコロナ禍に露呈した人間の本性である。コロナより怖いのは人間 ──大げさなと思うかもしれないが、金で女を買い叩き、買い叩かれる自由恋愛、これもまた、疫禍に苦しむ世界の証左であり、私たち人間の現実である。

●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で第14回日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。

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