スポーツ

広島・堂林の覚醒 監督交代で花開いた“遅咲き選手”の系譜

現時点で両リーグ唯一の4割打者である堂林翔太(時事通信フォト)

 入団11年目、今年29歳を迎える広島・堂林翔太が開幕から打ちまくっている。22試合を消化し、打率4割2分9厘、39安打、出塁率4割6分9厘と3部門でセ・リーグトップ(記録は7月22日時点。以下同)。開幕は7番でスタートしたが、7月17日のヤクルト戦から3番に昇格し、いきなり4安打を放った。

 2009年、夏の甲子園の優勝投手である中京大中京の堂林は、同年のドラフト会議で広島に2位指名され、打者に転向。3年目の2012年、野村謙二郎監督に開幕スタメンに抜擢され、144試合フル出場を果たす。“飛ばない”と言われた統一球に各打者が苦しむ中、エルドレッドの11本塁打を抑え、チーム最多の14本塁打を記録。三振はリーグ最多の150、失策29という数字も目立ったが、将来のブレイクを感じさせる1年だった。

 しかし、翌年以降は伸び悩み、2015年に緒方孝市監督が就任するとともに、出場機会は減っていく。緒方政権下の5年間で、わずか3本塁打しか打てなかった。野球担当記者が話す。

「当然、監督が変わることで選手の出場機会も変わってきます。それぞれの監督に“目指す野球”というものがあり、そこに合致するかどうかで選手起用を見直すようになるのです。1980年代の巨人・王貞治監督は攻撃的な野球を目指していたため、ショートに打力のある鴻野淳基や岡崎郁、勝呂博憲を起用した。しかし、1989年に就任した投手出身の藤田元司監督は守備を重視するため、川相昌弘をレギュラーに抜擢し、岡崎をサードに回した。監督交代は選手起用の変化の大きなきっかけになるんです」(以下同)

 佐々岡真司新監督の就任と同時に、堂林が“覚醒”したように、監督交代とともに“遅咲きの大ブレイク”が起こった例は過去にもある。

 PL学園の清原和博、桑田真澄の話題で持ち切りだった1985年のドラフト会議で日本ハムに1位指名された広瀬哲朗も、代表的な1人だ。社会人出身の即戦力として高代延博に代わるショートとして期待されたが、同年のドラフト3位である高卒の田中幸雄が2年目から頭角を現し、3年目には全試合出場を果たす。広瀬は守備要員の域を脱しきれず、田中がケガで棒に振った1992年もスタメン出場は限られていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン