「そもそもいきなり始まった『GoTo』は“少しでも好影響があればラッキー”くらいのものです。私たちが一番気にしているのは、来年に延期された東京五輪が開催できるかどうか。中止はもちろん、無観客開催になった場合も影響は甚大です。その時が本当の正念場になると思います。
JTBは東京五輪のオフィシャルパートナーなので、チケットの販売権利がある。中止が発表されるまでは、法人もリテールも多くの案件を成約させて進めていました。日本国内の旅行客はもちろん、海外のVIPの招聘など大規模な動きが予定されていたのですが、それが全て白紙になってしまった。来年できればいいですが、完全に中止となるといよいよ……」
東京五輪の延期は売上高の減少だけでなく、若手社員のモチベーションにも大きな影響を及ぼしているという。
「若手はみんな『オリンピックに関わる仕事ができる』というのが誇りでした。私も入社面接の時から五輪の話をするほど楽しみにしていましたから。これまで会社を辞めたいと思ったことは一度もありませんが、もし来年、五輪が中止になったらいよいよ転職を考えるかもしれません」
学生の就職人気企業ランキングで何度もトップに輝いた「旅行業界の雄」の浮沈は、来年に延期された「東京五輪」の開催が鍵を握っているかもしれない。