国内

中学で生徒に生徒を評価させるアンケート、何が問題だったか

私立並みの教育内容で人気も高かった公立中高一貫校だが…

教師の負担は大きくなっているとされる

 上司が部下を評価する旧来型の人事評価制度とは異なり、立場や関係性の異なる関係者が多面的に1人の従業員を評価する「360度評価」には一定のメリットが見込まれるとされる。これを意識したのかどうかは定かでないが、中学校の教師が生徒に生徒を評価させるアンケートを実施、これがSNSで物議を醸した。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。

 * * *
 その多くの日数がコロナで休校などになりながら、全国の学校の1学期がすでに終業、もしくはもうすぐ終わろうとしている。そんな時期の7月19日夜、ある中学生女子が、ツイッターに以下のツイートをした。

〈学校からもらった紙です。これを書いて提出しないといけません。なんで、こんなことを書かなければならないのかわかりません。なんのためなのか教えて下さい。〉

 これを私が見たのは翌々日の夜。すでに2000RTを超えるプチバズりツイートになっていた。なぜたくさんの注目を集めたのか。それは、つぶやきと共にアップされた一枚の「プリント」の写真が、どうにも気持ち悪かったからだ。「プリント」には、まず次の一文が書かれてある。

〈学級の中でこのような人は誰ですか。できるだけ多くの友達を書きましょう!〉

 そして、その直下に、10項目それぞれ男子と女子1人ずつの氏名と番号(おそらく出席番号だろう)を書きこむ形式の表が、大きく印刷されている。項目を順に並べてみよう。

【1】友だちに親切な人
【2】掃除を一生懸命している人
【3】日直の仕事を一生懸命している人
【4】給食当番を頑張っている人
【5】学級を明るく楽しくしてくれる人
【6】学級でリーダーシップをとれる人
【7】学級であいさつをしっかりしている人
【8】よく発表をしている人
【9】授業を真剣に受けている人
【10】1学期よく頑張った人(4人まで)

 最初、この表が目に飛びこんできたとき、通知表の右ページにある「行動の記録」みたいだなと思った。「礼儀・挨拶」「規範意識」「学習態度」「人間関係」などにおいて、達成できている項目に○がつけられるあれだ。

 通知表は学校ごとに異なるので、「行動の記録」の中身もいろいろだが、要は学校生活の中の学習面以外の部分を評価するものである。評価者はもちろん、担任の先生。先生が児童や生徒との関わりの中で把握したその子の特長を、簡単ではあるが表すわけだ。

 それにそっくりな項目の並んだプリントが、アンケートとして生徒たちの提出物になっている。アップ主も疑問を呈しているが、なぜ? なんのため?

 使用目的を生徒たちに説明していない時点でいかがなものかと思うのだが、目的を想像するともっと疑問は大きくなる。

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段通りの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
《名誉毀損で異例逮捕》NHK党・立花孝志容疑者は「NHKをぶっ壊す」で政界進出後、なぜ“デマゴーグ”となったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん
「今この瞬間を感じる」──PTSDを乗り越えた渡邊渚さんが綴る「ひたむきに刺し子」の効果
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン