ビジネス

コロナが終息しても「オフィスは仕切るべき」と考える理由

個人の空間がしっかり確保されたオフィス(Getty Images)

個人の空間がしっかり確保されたオフィス(Getty Images)

 近年、日本の大手企業のオフィスといえば、広大なワンフロアで社員みなが顔を突き合わせて仕事をする環境が主流になりつつある。IT企業などではオープンスペースで自分専用のデスクすらない企業も多い。コロナ以降は飛沫が飛ばないようアクリル板などで周囲を仕切るケースが増えたが、緊急事態の有無にかかわらず「オフィスは仕切るべき」と主張するのは、近著に『「超」働き方改革』の著書がある同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
 新型コロナウイルス感染の終息が見えない中でも、緊急事態宣言が解除されるとオフィス街には人影が戻ってきた。宣言解除を待ちかねていたようにテレワークをやめ、元の職場環境に戻そうとしている企業が多い。

 しかし私は「ちょっと待て」と言いたい。いまこそ働きやすく、生産性も上がるオフィスに改革する二度とないチャンスだからである。

日本式オフィスは「事務作業の場」

 私はこれまで世界の約20か国で企業や役所のオフィスを見てきたが、欧米はもちろんアジアの国々でも管理職には個室が与えられ、非管理職も一人ひとりのデスクは衝立で仕切られている。大部屋で仕切りがないデスクで仕事をするのは日本だけである。日本式のオフィスはきわめて特殊な構造なのだ。

IT企業を中心に自由なオープンスペースで仕事ができる企業も増えたが…

IT企業を中心に自由なオープンスペースで仕事ができる企業も増えたが…

 大部屋で課や係の全員が顔を突き合わせるようにして働く日本式のオフィスは、たしかに便利な点が多い。互いに仕事の進捗状況が把握できるし、上司が部下に、先輩が後輩に対して手軽に仕事を教えられる。また、同僚の仕事を手伝うのも容易だ。さらに、誰かが仕事をサボったり、手を抜いたりしているとすぐ分かるし、上司は普段から部下の働きぶりを目の当たりにしているので人事評価も行いやすい。

 しかし注意すべき点は、そこで前提になっているのが狭い意味での「事務作業」だということである。

 たしかに伝票処理、書類の作成、顧客や取引先との連絡、その他雑多な課題の処理といった事務作業を効率的にこなすのに、大部屋で仕切りのないオフィスは適している。けれども、このような事務作業の大半がITに取って代わられようとしていることを忘れてはいけない。

 それに伴い、多くの職種・職場ではITによる代替が困難な能力、とりわけ創造性や思考力を要する仕事の比重が大きくなった。その結果、オフィスは「事務作業の場」から「創造の場」に変わったのである。

関連記事

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン