リクエスト募集で旧作にも脚光を
『金曜ロードSHOW!』を放送する日本テレビにとっても、在宅率が高くなりそうな今年の8月は大きなチャンス。とりわけ同局は他局以上にファミリー層の視聴を重視する方針を採用してきただけに、「今夏はアニメ映画を続けることで、さらに支持を集めたい」という意図が見えます。
他局は2時間特番枠こそあるものの、バラエティか2時間ドラマがメインで、映画を中心に放送しているのは『金曜ロードSHOW!』だけ。さらにアニメ映画の放送はめったに行われないため、今回の5週連続放送で「テレビで映画を見るなら日テレ」「アニメ映画なら当然、日テレ」という印象をさらに決定づけられるのではないでしょうか。
また、『金曜ロードSHOW!』はアニメ映画に限らず、これまで視聴者を楽しませるために、さまざまな工夫を施してきました。今年のコロナ禍においてもリクエスト募集を行い、4月に『天使にラブソングを』、6月に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを3週連続で放送して視聴者を喜ばせました。
現在もリクエスト募集の第3弾を行うなど、「テレビ局が一方的に選んだものを放送する」のではなく、「視聴者が本当に喜ぶものを放送しよう」「新作ばかりに目を向けるのではなく、もう一度名作に光をあてよう」という姿勢は他局にはないものです。そんな双方向でのやり取りが続く限り、今後も『金曜ロードSHOW!』に対する喜びや期待の声はあがり続けていくでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。