室井:両方!? マグマが多すぎて?
鎌田:次は5割増しですから、すでに北と南の山麓に穴があいているので、マグマが多くて北側だけでは出し尽くせないとなれば、南側からも出すかもしれない。つまりマグマっていうのは、低い方が出やすいわけです。山頂まで行くのは大変でしょ。
室井:溶岩が2つの方向から流れ出たら、すごい被害になりそう。
鎌田:北に行けば富士五湖周辺のリゾート地は壊滅するし、南に行けば新幹線や東名高速道路がやられて、東西の大動脈が分断される。溶岩は一度流れ出すと止められないから怖いんです。
室井:そもそもどうして噴火のサイクルが変わったんですか?
鎌田:それは富士山に聞いてみないとわからない。まあ、火山の一生は100万年で、富士山は10万年。そのサイクルからいえば、江戸時代から300年なんてあっと言う間ですから。ただ、最近、ちょっと周期を外しているのは事実ですね。
◆室井滋/(むろい・しげる)富山県生まれ。女優。エッセイ・絵本も数多く出版し、女性セブンで現在『ああ越中ヒザ傷だらけ』を隔週連載中。本連載をまとめた旅エッセイ集『ヤットコスットコ女旅』は現在6刷のベストセラーになっている。
◆鎌田浩毅/(かまた・ひろき)東京都生まれ。理学博士。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は地球科学・火山学・科学コミュニケーション。近著に『理学博士の本棚』『富士山噴火と南海トラフ』『地学ノススメ』など。
※女性セブン2020年8月20・27日号