前者では、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期」「災害」「へき地」「研修・派遣機能」の9領域すべてで、地域における診療実績が下位3分の1の病院かどうかがチェックされた。
後者では、自動車で20分以内の距離に、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期」の6領域すべてで、診療実績が類似する病院があるかを検証されている。いずれかに該当する病院が約440あったということだ。
つまり、開院していても、あまり患者を診ていなかったり、同じような診療を行なう病院が近くにある場合は、医療費や人材の有効活用ができていない病院とみなされる。
この約440の対象病院について、厚生労働省医政局地域医療計画課の担当者が説明する。
「地域医療の体制整備は、あくまで都道府県が計画的に整備を図るものですが、国としては長期医療計画を定めるにあたって再編統合の方針を示したので、それに沿って各都道府県に議論を尽くしていただきたい。
ただし、名指しされた施設等を必ず再編統合しなければならないのではなく、地域の中で議論を進めてほしい」
新型コロナで医療体制が逼迫するなか、国は大きな方針を変えていない。
地域住民としては、慣れ親しんだ病院の再編統合による「消滅リスク」を認識しておく必要があるといえるだろう。表は、厚労省が挙げた病院のうち、「診療実績」と「類似の機能」の双方で対象に該当するとされた医療機関のなかからベッド数が多い順に60施設をリストにしたものだ。
※週刊ポスト2020年8月28日号