労働組合は反発するが、女子医大の代理人(弁護士)との交渉は平行線を辿る。6月29日付の『組合だより』には以下のようなやり取りがある。
組合「女子医大よりも減収額が大きい大学でも、ボーナスは出ている」
大学「減収と赤字は違う。うちは30億円の赤字だ」
組合「中小の病院も赤字に苦しんでいる。それでも職員のことを考えて、借りてボーナスを支給しているところもある」
大学「女子医大も借りて支給せよということですか。そんな不健全な経営は間違っているし、やるつもりもない」
強硬な姿勢だった女子医大は、社会的な批判を浴びた結果、福祉医療機構(※注)から借り入れして、8月25日に1か月分のボーナスを支給することになった。
【※注/社会福祉施設や医療機関への貸付事業、経営指導などを手がける独立行政法人】
支給対象は4000人余り、総額約12億円と推定される。そして8月になって、女子医大は、学費の値上げを公表した。6年間で約1200万円のアップとなる。
「計算すると総額4000万円超なので、私立医大ではトップクラスです。偏差値が下がる可能性は高い。学費と偏差値は反比例する傾向があるからです」(高梨裕介氏・医学部予備校ACE Academy代表)