放送されなかった部分ではこうした発言があったという。
「あんたこの番組に途中から来た子やんか。最初からブッキングされた出演者とちゃうやん」
「私とスタッフ全員、1人10万円。200万円分おごりなさい――おごられたら次の日病気になるからええわ」
「ほんまに怒ってんねんで。コロナでみんながイライラしてんねん」
「イラついてんねん、キミに!」
日本では、女性が「権力」と「愛されること」を同時に手に入れることを、あまりよくは受け止められない。武蔵大学教授で社会学者の千田有紀さんは言う。
「芸能界でいえば、上沼さんだけでなく、和田アキ子さん(70才)も恐れられる存在。芸能界のご意見番として怖がられてこそいますが、少なくとも“愛されキャラ”ではないでしょう」(千田さん・以下同)
年齢を重ねたというだけで愛されなくなるなら、若い頃のように愛想を振りまく気になれるはずもない。
「年を取ったら、愛されることよりもなめられないことを選ばざるを得ないのです。“私を怒らせたら大変なことになるのよ”と周囲にわからせて、身を守るために、女性は怒る。たとえば、梶原さんの一件での話し合いで、上沼さんがスタッフに対し“ごめんなさい、これからは気をつけます”と言ったらどうなったでしょう?
番組打ち切りこそ免れたかもしれませんが、その先ずっとスタッフにはなめられたかもしれません」
たとえ“逆ギレ”しようと、“西の女帝”の立場とプライドのためには、「じゃあ辞めます」と啖呵を切るしかなかったのかもしれない。いまの日本で、彼女がみじめにならないための“最良の選択”だったといえないだろうか。
梶原をなじったことも、“公開パワハラ”であることは間違いないが、上沼が女性であるがゆえの“未消化の怒り”があったのかもしれない。