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2020.08.26 16:00  週刊ポスト

「人工肺ECMO」45日目の生還 61歳理容師の壮絶告白

「今はこうやってお茶も飲めるけど、最初は大変でした。1か月半も経管で栄養を補給していたから、飲み込むことを身体が忘れている。まずは離乳食みたいなもので嚥下のリハビリをしましたが、最初は何度も吐き出しました。お粥が食べられるようになったのは半月くらい経ってからです。その後、細かく刻んだ食事などを経て、2か月程度でやっと普段の食事ができるようになった」

 長時間にわたりECMOを使用すると、治療後に脳梗塞などの症状が残ることがある。そのため患者は、脳機能のリハビリや、歩行の訓練などを行なう。

「私も手のしびれや、集中力の低下など軽い脳障害が残った。リハビリとして数独や簡単な計算などの脳トレや、とにかく自分の足で歩くことを実践しています」

 ECMOから回復した患者は、社会復帰まで半年程度かかるとされる。有村さんの今の不安は、退院してからの生活だ。

「これまで好きなように生きてきたことを後悔しています。誰かに頼りたくても頼れない。勤め先の理髪店のオーナーがいい人で、マンションの家賃や、退院してからの生活など、世話を焼いてくれるのが救いです。理容師は立ち仕事なので、退院しても元のように働けないと思います。病院のケースワーカーと相談して、まずは生活保護を申請するつもりですが、不安はつきません」

 有村さんにように少なからぬ患者が回復したのは医学の進歩の賜物だが、復帰後の日常生活は困難が続く。

●取材・文/末並俊司(介護ジャーナリスト)

※週刊ポスト2020年9月4日号

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