ICUで1か月
最初に搬送されたO病院では、「僕はその時のことをまったく覚えていませんが、見た目には普通に受け答えをしていたらしい」(有村さん)という。
その後、O病院で肺機能が衰え、血中酸素濃度が低下して意識を失った後に、第二種感染症指定医療機関であるT病院に移される。そこでも症状の悪化は止まらず、ECMOがある東京都健康長寿医療センターに再搬送された。
「T病院で意識がないままECMO治療が決定した。この判断が少し遅かったら危なかったと聞かされています」(有村さん)
ECMO治療では「患者を集中治療室(ICU)に受け入れ、呼吸器外科、心臓血管外科、臨床工学技士など多職種が連携したチームが24時間対応する」(東京都健康長寿医療センター担当者)。有村さんにも全身麻酔が施され、眠ったまま1か月以上をICUで過ごした。
「ECMOに繋がれている間はずっとうつ伏せの状態。点滴で栄養は摂りますが、トイレも行けないのでオムツをつけていたそうです」(有村さん)
関西でECMO治療を行なう医師が語る。
「重篤な患者のECMO治療はうつ伏せで行なうことがある。肺にかかる負担を分散させるなど、様々な理由があります。実際にそのほうが回復に向かいやすい」