パラアスリートを道具の面から支える義肢装具士の沖野敦郎さん(株式会社OSPO オキノスポーツ義肢装具代表)は、“ツールスポーツ”の名称を提唱している。
「障害者のスポーツの中で道具を使うスポーツのことを、スキーやスノーボードなどと同じようにツールスポーツと私は呼んでいます。道具がアスリートのパフォーマンスに大きく影響するスポーツとして見たときに、単純に肉体表現として見るのもいいけれど、F1レースでマシンに興味をもって見るように、ツールの視点から捉えたら面白い。
すると、ツールに興味を持った人がもっといいものをつくろうとする。いいツールができたらアスリートのパフォーマンスがさらに上がるという好循環になるはずなんです」(沖野さん)
考えてみれば、スキーやスケート、スノーボードやスケートボード、自転車競技なども道具を使う競技に違いない。身体的な特徴を、いかに道具をうまく使いこなすことでカバーするかという点では、道具を使うパラスポーツと何ら変わりがない。前出の小須田さんもこう言う。
「ぼくもこの世界に入るまでまったく気づかなかったけれど、車いすにしても道具を使うことでのメカニックなカッコよさがパラスポーツにはあると思うんです。ぼくは、義足は単純にカッコいいと思っています」